20巻記念 · 無料で読む

この古道具、ちょっと事情がありまして。――『旅する鑑定士の事件帖』1〜20巻案内

北を指さない羅針盤に、雨の日だけ亡き人の名が記された宿帳。値上がりし続けるのに、一度も売れない木馬まで。古道具の鑑定に出したはずなのに、どうも普通の依頼が少ないのです。

調べるのは、全国を旅する鑑定士・草壁悠介。古い品の傷や手触り、残された文字をたどって、その持ち主たちの時間へ近づいていきます。使い込まれた道具は、意外と口が堅い。けれど、よく見ると隠しきれていないところもあります。

灯雨文庫が刊行する『旅する鑑定士の事件帖』(著・柊木朔)が、20巻までそろいました。今回は、その二十件の依頼をご案内します。謎の答えは伏せながら、品物たちの「ちょっと困った事情」をのぞいてみましょう。

気になるものが見つかったら、各巻のリンクから詳しい紹介へ。最初の一冊を探すつもりで、どうぞお立ち寄りください。

VOL.1

旅する鑑定士の事件帖 Vol.1|北の灯り

開ける前から、旅が始まる

旅する鑑定士の事件帖 Vol.1|北の灯りの表紙

最初の依頼は、亡き祖母が残した古い蔵の鍵を探してほしいというもの。ところが祖母の最期の言葉は、「蔵は、まだ開けないで」でした。鍵を探す話なのに、すぐには開けられない。最初から、なかなか難しい注文です。

「北の灯りを忘れない」と書かれた紙片と、黒く焦げた古いランプ。手がかりは北海道・小樽へつながっていきます。草壁悠介の旅に初めて同行するなら、まずはこちらから。

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VOL.2

旅する鑑定士の事件帖 Vol.2|雨の宿帳

雨の日だけ記された名前

旅する鑑定士の事件帖 Vol.2|雨の宿帳の表紙

古い木箱に入っていたのは、宿帳と一本の万年筆。宿帳には、すでに亡くなっているはずの男の名前が、雨の日だけ何度も記されていました。晴れの日なら気にならない、という話でもありません。

記録は、なぜ二〇六号室に結びついているのか。万年筆と未開封の手紙は、誰のために残されたのか。宿泊記録の文字を追ううちに、その名前を書いた人のことまで知りたくなる一冊です。

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VOL.3

旅する鑑定士の事件帖 Vol.3|写真館の少女

受け取り手のいない一枚

旅する鑑定士の事件帖 Vol.3|写真館の少女の表紙

閉店を迎える写真館に、受け取り手のない写真が一枚。白いワンピースの少女が写っているのに、撮影台帳には名前がありません。裏に残されたのは、「迎えに行けなくて、ごめん」という言葉でした。

白い門、午後三時、失くしたペンダント。小さな手がかりをつなぐ旅は、五十年前の秋へ向かいます。写真の中の少女が何を待っていたのか、その目線の先を一緒にたどりたくなります。

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VOL.4

旅する鑑定士の事件帖 Vol.4|海鳴りの羅針盤

北を指してくれない道具

旅する鑑定士の事件帖 Vol.4|海鳴りの羅針盤の表紙

この羅針盤、北を指しません。どこに置いても、海のある方角を指し続けます。道具としては困りますが、謎の入口としては、どうしても気になります。

持ち主だった父は、「絶対に捨てるな」と言い残していました。古い船宿、海難事故、消えた漁船。潮の匂いを感じながら、父が語らなかった夜を追う巻です。

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VOL.5

旅する鑑定士の事件帖 Vol.5|古時計の止まった朝

祖父が直さなかった時計

旅する鑑定士の事件帖 Vol.5|古時計の止まった朝の表紙

懐中時計の針は、午前五時十七分で止まったまま。几帳面だった祖父が、この時計だけは直そうとしませんでした。修理すれば済む話に見えるほど、「直さなかった理由」が気になってきます。

破られた日記の一日と、祖父が書き続けた手紙。止まった時刻の周りには、まだ動き続けている想いがありそうです。時計と手紙という組み合わせに弱い方は、こちらへ。

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VOL.6

旅する鑑定士の事件帖 Vol.6|桜染めの着物

仕立てずに守った春

旅する鑑定士の事件帖 Vol.6|桜染めの着物の表紙

桐箪笥の奥に、淡い桜色の反物が一反。祖母はそれを、生涯仕立てることなく大切に守っていました。箱には、「桜が散る前に、仕立ててください」と書かれた一文が残されています。

仕立ててほしいと言われたのに、鋏を入れなかった。けれど、捨てることもしなかった。美しい布の前で立ち止まりながら、着物になるはずだった春をたどる一冊です。

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VOL.7

旅する鑑定士の事件帖 Vol.7|線路沿いの弁当箱

おかずの代わりに、一枚の切符

旅する鑑定士の事件帖 Vol.7|線路沿いの弁当箱の表紙

廃線になった駅で見つかった、古いアルミの弁当箱。中身は、おかずではありません。古い時刻表と、改札鋏の跡がない一枚の切符でした。

蓋の裏には、「いってらっしゃい」の文字。誰かが乗るはずだった列車と、見送れなかった朝が、その小さな箱に残されています。もう列車の来ない駅で、出発の続きを探す巻です。

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VOL.8

旅する鑑定士の事件帖 Vol.8|硝子工房の欠けた杯

完成した日に、わざと欠けた杯

旅する鑑定士の事件帖 Vol.8|硝子工房の欠けた杯の表紙

完成したその日に、わざと縁を欠けさせられた杯。せっかく作ったものを、どうして壊したのか。しかも底にある刻印と、工房の日誌に残された作り手の名前が一致しません。

作品に名前を刻むことは、誰が作ったのかを残すことでもあります。その名前が食い違うとき、杯の欠けた部分まで、別の意味を持ち始めます。ものづくりと、作り手の誇りをめぐる謎が気になる方へ。

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VOL.9

旅する鑑定士の事件帖 Vol.9|月夜の古文書

月のある夜に開くこと

旅する鑑定士の事件帖 Vol.9|月夜の古文書の表紙

昼間は何も書かれていない和紙が、月の光の下で名前を浮かび上がらせます。桐箱の注意書きは、「月のある夜に開くこと」。鑑定の予約は、天気予報と相談になりそうです。

現れるのは、地図にも戸籍にも残っていない村と、そこで暮らしていた人々の名前。なぜ、村は記録から消されたのか。月夜の山寺という舞台に心が動く方は、この箱を開けてみてください。

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VOL.10

旅する鑑定士の事件帖 Vol.10|傷の増える狐面

祭りの前から増えた傷

旅する鑑定士の事件帖 Vol.10|傷の増える狐面の表紙

祭りのたびに、傷が一本ずつ増える狐面。誰がつけたのか、わかりません。ところが今年は、祭りが始まる前から新しい傷がありました。順番まで守ってくれないとなると、いよいよ穏やかではありません。

面の裏にあるのは、村の記録に存在しない子どもの名。古い傷と、山で姿を消した少年の出来事が、少しずつつながっていきます。狐面と秋祭りという言葉だけで気になる方には、ぜひ。

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VOL.11

旅する鑑定士の事件帖 Vol.11|岸へ近づく舟

絵の舟が、少しずつ近づく

旅する鑑定士の事件帖 Vol.11|岸へ近づく舟の表紙

湖畔の旅館に飾られた水墨画。その中の舟が、数年に一度、少しずつ岸へ近づいているといいます。絵の舟には静かにしていてほしいところですが、どうも事情があるようです。

舟が動いた年には、長く帰らなかった客が戻ってくる。さらに、三十年前に旅館から姿を消した女性のことが浮かび上がります。霧の湖を眺めながら、「帰ってくる」という言葉を考えたくなる巻です。

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VOL.12

旅する鑑定士の事件帖 Vol.12|材料のない料理帳

買い物の前から困る料理帳

旅する鑑定士の事件帖 Vol.12|材料のない料理帳の表紙

古い料理帳の最後の一頁だけ、材料欄が削り取られています。料理名は「旅立ち膳」。作り方があっても、これでは買い物に出かける前から困ります。

頁の間に残されたのは、家を離れた人々の名前と、「出せず」と書かれた一枚の紙。誰に何を食べてもらうはずだったのか。食卓と見送りの記憶に触れたい方へ、おすすめしたい一冊です。

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VOL.13

旅する鑑定士の事件帖 Vol.13|最後まで見てはいけない写真

一枚の写真を「最後まで見る」とは

旅する鑑定士の事件帖 Vol.13|最後まで見てはいけない写真の表紙

老舗写真館に残された、番号487の木箱。蓋の裏には、「この写真だけは、最後まで見てはいけない」と書かれていました。動画なら途中で止められますが、一枚の写真を「最後まで見る」とは、どういうことなのでしょう。

悠介が追うのは、百年近く現像されなかった一枚。注意書きの意味が気になった方は、その疑問を持ったまま読み始めてください。写真の見方そのものまで、少し気になってくる入口です。

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VOL.14

旅する鑑定士の事件帖 Vol.14|消える七分間

七分だけ、待ってください

旅する鑑定士の事件帖 Vol.14|消える七分間の表紙

一日に一度だけ、七分間だけ遅れる懐中時計。裏蓋には、「七分だけ、待ってください。」という文字が刻まれています。不調の説明にしては、妙に丁寧なお願いです。

なぜ、五分でも十分でもなく、七分なのか。その短い時間の先に、かつて誰かが待った人の姿が見えてきます。「待つこと」に心当たりがある日に、手に取ってみてほしい巻です。

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VOL.15

旅する鑑定士の事件帖 Vol.15|八つ目の扉

七つの扉と、八つ目の注意書き

旅する鑑定士の事件帖 Vol.15|八つ目の扉の表紙

古い旅館の離れで見つかったのは、七つの扉を開く一本の鍵。ところが木札には、「八つ目は、開けないこと」とあります。数を数えるところから、すでに話が合いません。

存在しないはずの八つ目の扉と、長いあいだ開けられなかった黒い箱。鍵が見つかったからといって、すぐに開けてよいとは限らないようです。旅館の廊下を一つずつ確かめるように、謎を追いたい方へ。

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VOL.16

旅する鑑定士の事件帖 Vol.16|大きくならなかった背広

二十年離れた、同じ寸法

旅する鑑定士の事件帖 Vol.16|大きくならなかった背広の表紙

老舗仕立屋から持ち込まれた、紺色の背広。内ポケットにあった二枚の採寸票は、二十年離れているのに同じ数字が並んでいました。そこに残された、「右肩四センチ」という記録が気にかかります。

同じ寸法を残せば、同じ人になれるのでしょうか。一着の服から、そのあいだにあるものをたどっていきます。誰かの背中を追ってきた人にとって、気になる題名ではないでしょうか。

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VOL.17

旅する鑑定士の事件帖 Vol.17|売らないための値札

最後の値札は「〇円 返す」

旅する鑑定士の事件帖 Vol.17|売らないための値札の表紙

小さな木彫りの馬についた値札は、三百円、三万円、三十万円。何十年もかけて値段が上がっているのに、売れた記録は一度もありません。ずいぶん強気なお店だと思ったところで、底から別の文字が現れます。

「〇円 返す」。売り物のはずなのに、最後の言葉は「売る」ではなく「返す」でした。品物の値段と、誰かにとっての価値を、一緒に考えたくなる一冊です。

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VOL.18

旅する鑑定士の事件帖 Vol.18|届かなかった二十五通

一通でも気になるのに、二十五通

旅する鑑定士の事件帖 Vol.18|届かなかった二十五通の表紙

二十五年間、毎年同じ日に、同じ父親へ出された絵葉書。切手も消印もあるのに、一枚も配達されていませんでした。一通だけでも気になるのに、二十五通です。

誰が書き、なぜ届かず、それでもなぜ書き続けたのか。旧郵便局に残された紙を追いながら、父と息子の間にあった距離へ近づいていきます。手紙にまつわる物語が好きな方へ。

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VOL.19

旅する鑑定士の事件帖 Vol.19|三つの名前を持つ宿

一枚の看板に、三つの名前

旅する鑑定士の事件帖 Vol.19|三つの名前を持つ宿の表紙

瀬戸内の島の旅館から、古い看板が一枚。表には「潮路館」、裏には「浜乃家」、削られた木肌の下には「月凪荘」とあります。一枚で三軒分の仕事をしているようですが、この宿は一度も名前を変えていないはずでした。

看板に残された三つの名と、宿の始まりをめぐる記録。島へ渡る船から、古い旅館の奥へ進んでいきます。旅先で建物の来歴が気になる方に、のぞいてみてほしい巻です。

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VOL.20

旅する鑑定士の事件帖 Vol.20|祝いの日に使わない鶴

鶴なのに、お祝いには使わない

旅する鑑定士の事件帖 Vol.20|祝いの日に使わない鶴の表紙

北陸の老舗菓子店で見つかった、鶴の菓子木型。縁起のよい意匠なのに、裏には「祝いの日には使わないこと」と刻まれていました。鶴なのに、お祝いには使わない。しかも帳面に記録がないのに、木肌には何百回も使われた痕跡があります。

側面にある五十本の線と、「戻」の一文字。この木型は、誰のどんな一日のために使われたのでしょうか。二十冊目の依頼でも、悠介は古い品に残された人々の時間をたどっていきます。

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最初の一冊、どれにしましょう?

草壁悠介の旅に初めて同行するなら旅する鑑定士の事件帖 Vol.1|北の灯り

蔵の鍵と焦げたランプを手がかりに、小樽へ。鑑定士の旅を最初からたどる入口です。

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不穏な注意書きが気になるなら旅する鑑定士の事件帖 Vol.13|最後まで見てはいけない写真

「最後まで見てはいけない」と書かれた一枚の写真。注意書きの意味が気になる方へ。

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手紙に残された想いをたどるなら旅する鑑定士の事件帖 Vol.18|届かなかった二十五通

届かなかった二十五通の絵葉書から、父と息子のあいだにあった距離を追います。

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職人の仕事や、ものづくりが好きなら旅する鑑定士の事件帖 Vol.8|硝子工房の欠けた杯

わざと欠けさせた杯と、食い違う作り手の名前。ものづくりの誇りに触れる一冊です。

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旅先の建物や、その来歴が好きなら旅する鑑定士の事件帖 Vol.19|三つの名前を持つ宿

瀬戸内の島へ。一枚の看板に残る三つの名前から、宿の始まりをたどります。

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最新の依頼をのぞいてみるなら旅する鑑定士の事件帖 Vol.20|祝いの日に使わない鶴

鶴なのに、祝いの日には使わない菓子木型。古い木肌に残る時間をたどる二十冊目の依頼です。

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古い品の傷や欠けは、使われてきた時間の跡でもあります。直さなかった時計、仕立てなかった反物、売れなかった木馬。手放さずにいた理由をたどっていくと、道具の向こうに人の姿が見えてきます。

もし、家にある古い箱から、用途のわからない鍵や止まった時計が出てきたら。すぐに蓋を閉める前に、「これ、どうして残っているんだろう」と、少しだけ気にしてみたくなるかもしれません。

あなたが鑑定に出してみたいのは、どの品でしたか。気になった巻があれば、その品の来歴をたどる旅へ。品物にも、まだ聞いていない話がありそうです。

1〜20巻すべてKindle Unlimited対象です。各巻の作品ページには、あらすじとAmazonの商品ページへのリンクをまとめています。

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