明日を売る店 Vol.8|家族を直す道具の表紙

BOOK · VOL.8

明日を売る店 Vol.8|家族を直す道具

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家族だからこそ言えないこと、近すぎるから決めつけてしまうこと。《仲直り専用電話》《父親交換券》《母の味を再現する鍋》《家族写真から消える薬》《帰ってこない人の席》。願いがかなっても、家族は元どおりになるとは限らない。近すぎる関係の痛みと、もう一度つながり直す可能性を描く、少し不思議で切ないショートショート五編です。

出版社
灯雨文庫
形式
Kindle版
巻数
Vol.8
ASIN
B0HK1ZPSHS
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READ A LITTLE

物語の冒頭を、少しだけ。

『明日を売る店 Vol.8|家族を直す道具』より

藤原美咲は、母と三か月話していなかった。三十二歳。都内の広告会社で働いている。実家までは電車で一時間半ほど。帰ろうと思えば帰れる距離だったが、この三か月、一度も帰っていない。原因は、ひどくくだらないことだった。 少なくとも、最初は。春。美咲が久しぶりに実家へ帰った日のこと。母の恵子は、夕食の支度をしながら言った。 「最近、仕事どう?」 「普通」 「忙しいの?」 「まあね」 「ちゃんと食べてる?」 「食べてる」 いつもの会話。そのあと、母が何気なく言った。

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