BOOK · VOL.1
泣きたい時に読む本 第一巻 最後の写真
泣きたい時に読む本を見る古い商店街の端にある写真館「灯里」。そこを訪れるのは、なぜか皆、泣けない人たちだった。母に言えなかったありがとう。父から聞けなかった一言。終わった恋の中に残っていた優しさ。小さな靴にしまわれた夫婦の涙。そして、店主が十五年間現像できなかった妻の最後の写真。 写真に残っていたのは、過去ではなく、言えなかった想いだった。 これは、泣けなかった人が、ようやく泣けるようになるための五つの物語です。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.1
- テーマ
- 泣ける物語を読みたい夜に
- ASIN
- B0H3HDPSQ6
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READ A LITTLE
物語の冒頭を、少しだけ。
『泣きたい時に読む本 第一巻 最後の写真』より
泣けなかった。 母が亡くなった日も、葬儀の日も、四十九日が過ぎたあとも、紗季は一度も泣かなかった。 親戚たちは、皆、泣いていた。 母の妹は棺の前で何度も名前を呼び、近所の人たちは「いい人だったのに」と目頭を押さえた。父はずっと背中を丸め、何も言わずに座っていた。
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