BOOK · VOL.10
泣きたい時に読む本 第十巻 帰れなかった家
泣きたい時に読む本を見る空き家整理会社『暮らしのあと』に持ち込まれるのは、家を空にしてほしいという依頼。母の椅子、父の工具箱、壁に残る身長の線。何百軒もの家を片づけてきた男にも、二十四年間帰れなかった実家があった。物を手放しながら、家族の時間を受け取り直す五つの物語です。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.10
- テーマ
- 泣ける物語を読みたい夜に
- ASIN
- B0HGV4VRPH
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物語の冒頭を、少しだけ。
『泣きたい時に読む本 第十巻 帰れなかった家』より
空き家整理の仕事をしていると、「全部捨ててください」と言いながら、一つの物の前で長い時間動けなくなる人に出会うことがある。宮坂遼一は、そういう時ほど急がなかった。五十一歳。空き家整理会社「暮らしのあと」を始めて十三年になる。亡くなった人の家を片づけ、必要なものを遺族へ返し、使える家具を譲り、最後に家を空にする。それが遼一たちの仕事だった。 けれど、人の暮らした家は、物の量だけでは片づかない。 「これは処分していいですか」 「はい」
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