BOOK · VOL.11
泣きたい時に読む本 第十一巻 消えない灯り
泣きたい時に読む本を見る取り壊しが決まった古いアパート「ひかり荘」。住人が一人ずつ去るたび、窓の灯りも消えていく。夜中に帰る人、夜泣きする母親、家を出た娘、そして亡き妻の言葉を守り管理室の灯りを六年間消せずにいた大家。誰かのために残された小さな光をめぐる、五つの短編連作です。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.11
- テーマ
- 泣ける物語を読みたい夜に
- ASIN
- B0HHKRBMDY
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物語の冒頭を、少しだけ。
『泣きたい時に読む本 第十一巻 消えない灯り』より
古いアパート「ひかり荘」が取り壊されることになったのは、冬が来る少し前だった。築五十二年。木造二階建て、全八室。外壁は何度も塗り直されていたが、雨の跡までは隠しきれず、二階へ上がる鉄の階段もところどころ錆びている。 大家の大庭信一は、七十一歳。父からアパートを引き継いで三十年以上になる。 「来年の三月いっぱいで、ひかり荘を閉めます」 住人へそう伝えた時、驚いた人もいれば、「そろそろだと思ってました」と笑った人もいた。退去まで、あと四か月。一つずつ、窓の灯りが消えていくことになる。
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