泣きたい時に読む本 第九巻 海辺の約束の表紙

BOOK · VOL.9

泣きたい時に読む本 第九巻 海辺の約束

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海の見える町・潮待。そこには、長い時間を越えて残り続ける約束がある。「次の夏には帰る」と言った兄。十年後の再会を約束した幼なじみ。「夕飯までには帰る」と海へ出た父。五十三年間、同じ海を訪れてきた夫婦。そして、妹のために四十年間、一室を空け続けた宿の主人。 守れなかった約束と、待ち続けた人の涙を描く五つの物語。

出版社
灯雨文庫
形式
Kindle版
巻数
Vol.9
ASIN
B0HFYQ3R74
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物語の冒頭を、少しだけ。

『泣きたい時に読む本 第九巻 海辺の約束』より

潮待町では、海が見えない場所のほうが少なかった。 坂を下れば海。商店街の隙間からも海。古い家の二階へ上がれば、屋根の向こうに青い水平線が見える。 町の端には、小さな宿があった。海辺の宿「汐音」。木造二階建てで、玄関には潮風ですっかり色の薄くなった暖簾がかかっている。 宿の主人は、桐谷宗一。六十八歳。妻を十五年前に亡くしてから、一人で宿を切り盛りしていた。

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