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最後の一枚は、まだ眠っている
灯雨文庫作品を見るその絵が、小さな地方美術館に届いたのは八月の終わりだった。描かれていたのは、海辺に立つ一人の女性。作者名も、作品名もない。ただキャンバスの裏には、謎めいた文字が残されていた。「1945 Paris M」 学芸員の水城夏帆が調査を始めると、戦前のパリで活動し、一九四五年に広島で亡くなったとされる画家・三枝槙人へたどり着く。 そして一枚だと思われた絵には、海を越えて離れ離れになった作品が存在していた。 パリ。 広島。 古い郵便局。 閉店した文具店。 ホテルの地下倉庫。 八十年近い時間の中で、絵は人から人へと渡されていた。 なぜ、一枚の絵は三つに分けられたのか。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- 一冊完結
- テーマ
- 一冊で完結する物語
- ASIN
- B0HFFJD8C9
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物語の冒頭を、少しだけ。
『最後の一枚は、まだ眠っている』より
その絵が美術館に届いたのは、八月の終わりだった。 午後三時を過ぎても、外では蝉が鳴いていた。 白瀬市立美術館の収蔵庫は、季節というものから切り離されている。 温度は二十二度。
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