黒い船を待つの表紙

BOOK

黒い船を待つ

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王都での勤務を望んでいた若き士官ユリアンは、北の果てに建つ「北壁灯台」へ配属される。そこは船を導くための灯台ではなかった。三十七年前、霧の中に現れたという正体不明の黒い船。その再来を知らせるため、隊員たちは毎日、六十四に分けられた海を見つめ続けていた。 ユリアンは半年で王都へ戻るつもりだった。 しかし、霧が出るたびに黒い影が現れ、白い光が届くたびに、帰る日は少しずつ先へ延びていく。 やがて海から、百年以上前に消息を絶った第七号探検船《エレボス》の船板が流れ着く。 そしてある夜、水平線の向こうに一隻の黒い船が姿を現す。 それは敵なのか。

出版社
灯雨文庫
形式
Kindle版
巻数
一冊完結
ASIN
B0HFBVBP46
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READ A LITTLE

物語の冒頭を、少しだけ。

『黒い船を待つ』より

北壁灯台が見えたのは、馬車を降りてから二時間ほど歩いたころだった。 灰色の海と灰色の空の境に、細い塔が一本立っていた。 海を照らすための灯台にしては、ずいぶん陸から離れているように見えた。岬の先端よりさらに高い岩山の上に建ち、窓はどれも細く、光を外へ放つというより、何かを内側から覗くための穴のようだった。 ユリアン・オルドは足を止め、肩に食い込む鞄の紐を持ち直した。

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