BOOK · VOL.14
絵がやさしく語る夜に|夏の終わりの窓
絵がやさしく語る夜にを見る風鈴の残り音、色褪せた緑、高くなった空を映す《夏の終わりの窓》。止まった季節、言えなかったさよなら、自然に冷えていった関係、残った気持ちに触れる勇気。終わりと始まりが重なる季節に、未来へ歩く準備を描く連作短編集です。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.14
- テーマ
- 美術と絵画をめぐる物語
- ASIN
- B0H4XGXNKX
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物語の冒頭を、少しだけ。
『絵がやさしく語る夜に|夏の終わりの窓』より
《夏の終わりの窓》は、淡い水彩で描かれた一枚だった。窓辺には乾きかけた風鈴。外には、色が褪せた緑の木々。空はどこか高く、秋の気配がほんのりにじんでいる。その前に、二十代の男性が立っていた。 まるで夏休みの最後の日を思い出しているかのような、少しだけ寂しい表情をしていた。 「……夏が終わるのって、苦手なんです」 彼は小さく笑った。 「どんなところがですか?」 「楽しいことが多いからでしょうか。終わると、急に“何もない”気がしてしまう」 水彩の窓は、光を受けながら淡くにじんでいる。
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