絵がやさしく語る夜に|書きかけの手紙の表紙

BOOK · VOL.4

絵がやさしく語る夜に|書きかけの手紙

絵がやさしく語る夜にを見る

机の上に置かれた、書き出しの一文だけが滲んだ便箋。渡せなかった謝罪、投函できなかった本音、時間に追い越された言葉、自分自身に宛てた途中の手紙。《書きかけの手紙》を前に、言えなかった言葉を責めず、未来の自分へ続きを託す人々を描く連作短編集です。

出版社
灯雨文庫
形式
Kindle版
巻数
Vol.4
ASIN
B0GRHTCVS2
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READ A LITTLE

物語の冒頭を、少しだけ。

『絵がやさしく語る夜に|書きかけの手紙』より

閉館前の美術館は、ゆっくりと夜に溶けていくようだった。照明が落ち始めると、展示室の白い壁には柔らかな影が伸び、昼間とはまったく違う静けさが漂う。その静けさの中で、「書きかけの手紙」の絵はすこしだけ温かく見えた。 机の上に置かれた便箋。ペン先に残るインクの影。書かれた一行だけが、淡い水彩で滲んでいる。──言葉が途中で止まったままの絵。その前に、ひとりの女性が立ち尽くしていた。明るいベージュのニット、落ち着いた紺色のスカート。 だが、表情にはどこか緊張が走っている。

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