BOOK · VOL.6
絵がやさしく語る夜に|揺れる白いカーテン
絵がやさしく語る夜にを見る窓辺の光に照らされ、風に呼応するように揺れる薄い白布。仕事の疲れ、帰る場所への迷い、過去の記憶に縛られた心を、《揺れる白いカーテン》の柔らかな光と影がそっとほどいていく。心の揺らぎと小さな希望を描く連作短編集です。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.6
- テーマ
- 美術と絵画をめぐる物語
- ASIN
- B0GS9657XV
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物語の冒頭を、少しだけ。
『絵がやさしく語る夜に|揺れる白いカーテン』より
閉館前の展示室は、いつもより静かだった。空調の音さえ薄まり、空気がゆっくり沈んでいく。その静けさの中心で、油彩の『揺れる白いカーテン』だけが、まるで本物の風をまとっているかのように見えた。 白いカーテンが、柔らかく揺れている。描かれているのはただそれだけなのに、カーテンに触れた風や、窓の外の温度まで感じられる絵だ。──室内に吹き込む、静かな光の気配。点検を終えようとしたタイミングで、展示室に控えめな足音が近づいてきた。 「……すみません、まだ見られますか?」
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