俳句の先生の表紙

SERIES

俳句の先生

季節の一瞬を五・七・五に閉じ込める町家の俳句教室。言葉と暮らしを見つめ直す物語。

全5冊を掲載

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ABOUT THE SERIES

五・七・五から、見過ごしていた季節を見つける

『俳句の先生』の舞台は、町家の小さな俳句教室です。そこを訪れる人たちは、春風、夏空、秋の灯り、冬の月を五・七・五に置き換えながら、見過ごしていた景色や自分の心に気づいていきます。

俳句の知識がなくても、短い言葉を選ぶ時間と四季の移ろいを物語として楽しめます。慌ただしい日々の中で立ち止まり、暮らしをゆっくり見つめ直したい人に向けたシリーズです。

こんな人におすすめ

  • 俳句や短い言葉が好きな人
  • 四季を感じる物語を読みたい人
  • 暮らしを見つめ直したい人

BOOKS

作品一覧

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俳句の先生 Vol.5|春泥の靴の表紙

VOL.5

俳句の先生 Vol.5|春泥の靴

藤野しずく

学校へ行けなかった日にも、歩いた跡は残っている。泥のついた靴で見つけた、自分だけの十七音。制服を着ることはできる。鞄の準備もできる。熱もない。嫌いな友だちがいるわけでもない。それなのに、中学生の菜々子は、玄関から先へ出られなくなった。母には「明日は行く」と言う。担任には「少し体調が悪い」と伝える。心配してくれる友だち・美月には、短い返事しか送れない。行きたいのに、行けない。理由を説明できない自分を、菜々子は責め続けていた。ある雨上がりの午後、学校とは反対の道を歩いた菜々子は、白いスニーカーを泥で汚す。その路地で見つけたのは、古い町家だった。

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俳句の先生 Vol.4|冬月の手紙の表紙

VOL.4

俳句の先生 Vol.4|冬月の手紙

藤野しずく

父の白紙に、今さら灯った言葉がある。亡き父が残した宛名だけの封筒。言えなかった「ありがとう」を、冬月の下で書きはじめる。父の机から見つかった、一通の封筒。表には、父の字でこう書かれていた。誠司へ。けれど、中に入っていた便箋は白紙だった。父が亡くなって七年。実家を手放すことになり、五十三歳の誠司は姉とともに家の片づけを始める。古い机。写真の端に写った父の指。細かく記された家計簿。大学の学費のために売られていたカメラ。毎年手入れされていた寒椿。無口で、頑固で、何も説明しなかった父。誠司は、そんな父に今も腹を立てている。言いたいことがあったなら、言えばよかった。

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俳句の先生 Vol.3|秋灯のノートの表紙

VOL.3

俳句の先生 Vol.3|秋灯のノート

藤野しずく

名前のない一日にも、私が見たものはある。自分の名前で書く一行が灯りはじめる。冷蔵庫の横のカレンダーには、いつも予定がぎっしり書き込まれている。夫の出張。娘の塾。息子の部活。母の通院。パートのシフト。買い物。夕飯。提出物。高梨真帆は、家族の予定を忘れない。誰かが困らないように、先回りして動く。「大丈夫」と言いながら、毎日を回している。自分の名前で書かれた予定はほとんどなかった。そんなある秋の夕方、真帆は文房具店で一冊のノートを手に取る。深い紺色の表紙。小さな金色の月。帯には、こう書かれていた。けれど、いざ開いてみると、何を書けばいいのかわからない。

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俳句の先生 Vol.2|夏空の返事の表紙

VOL.2

俳句の先生 Vol.2|夏空の返事

藤野しずく

返せなかった言葉の先に、麦茶の冷たさが待っていた。「元気?」たった二文字に返事ができなかった息子が、十七音で母との距離を見つめ直す物語。母から届くメッセージは、いつも短かった。「元気?」たった二文字。返事をするのに、一分もかからないはずだった。けれど、佐伯蓮はいつも指が止まってしまう。元気ではないわけではない。でも、元気だよと返すには、何かが足りない。心配されるのが重い。でも、心配されなくなるのも怖い。会いたくないわけではない。けれど、実家に帰ることを考えると、父のいない家と、ひとりで暮らす母の姿が胸に重くのしかかる。

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俳句の先生 Vol.1|春風の一句の表紙

VOL.1

俳句の先生 Vol.1|春風の一句

藤野しずく

灯雨文庫の雰囲気なら、個人的には 白川こと葉 が合います。やさしくて、言葉を扱うシリーズ感も出ます。本当の気持ちが少しずつ置き去りになっていた。三崎結衣、三十六歳。会社では頼まれた仕事を断れず、いつも笑って引き受けてしまう。本当は疲れている。本当は苦しい。けれど口から出るのは、いつも同じ言葉だった。そんなある夜、結衣は雨上がりの路地で、小さな町家を見つける。軒先の看板には、ただ一言。俳句の先生。そこにいたのは、藤野しず枝という老婦人だった。しず枝先生は、結衣に励ましの言葉をかけるわけではない。答えを教えるわけでもない。ただ、静かに問いかける。雨上がりの道。

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