VOL.5
絵の中の旅人 Vol.5|黄金の空の下で
黄金に輝く祭壇画の隅に、名もない少女が描かれていた。美術館で働く学芸員・白瀬まひろが触れたのは、十五世紀末の北イタリアで描かれた《黄金の空の下で》。絵の中でまひろが出会った若き画家ルカは、疫病で亡くなった町の人々を祭壇画へ残そうとしていた。 しかし、聖なる絵に描くことを許されるのは、聖人と天使だけ。 家族を失った孤児アンナは、ルカへ願う。 「私まで、いなくなったみたいになるのは嫌」 描いてはいけない少女。 残してはいけない名前。 ルカは、消えた人々の名を金箔の下へ刻み始める。 黄金の光は、悲しみを隠すためのものなのか。
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