BOOK · VOL.4
絵の中の旅人 Vol.4|青い陶器と朝の光
絵の中の旅人を見る一枚の絵には、描かれた人がいる。描いた人がいる。そして、描かれなかった物語がある。美術館で働く新人学芸員・白瀬まひろが出会ったのは、青い陶器と朝の光を描いた一枚の室内画。窓辺のテーブルには、二つのカップ。しおれた白い花。開かれた羅針盤。そして、誰も座っていない椅子。 絵に呼ばれたまひろが迷い込んだ先は、十八世紀の港町だった。 その家では、マルタという女性が、海へ出たまま帰らない夫・ヨハンを待ち続けていた。 毎朝窓を開け、二人分の朝食を用意し、港の鐘が鳴るたびに船を確かめる日々。 けれど、待つ時間は少しずつ、マルタと娘リナの暮らしを止めていく。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.4
- ASIN
- B0H8QJCGX2
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物語の冒頭を、少しだけ。
『絵の中の旅人 Vol.4|青い陶器と朝の光』より
水の音は、朝になると強くなった。 《雪の橋を渡る人》が収蔵庫へ戻されてから、十日ほどが過ぎていた。 美術館の廊下を歩いていると、ときどき遠くで水が揺れる音がする。 ちゃぷ。
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