BOOK · VOL.1
札幌
たびとぬくもりのものがたりを見る雪の静けさがやさしく包む街・札幌。駅前で教わった“ペンギン歩き”、屋台で味わうあたたかなコーンバター、雪の朝に飲むホットミルク、歩幅を合わせてくれた旅人との出会い——。本作は、冬の札幌で体験する小さな優しさを5つの短編に閉じ込めた、心ほぐれる旅物語です。雪が吸い込む静かな音、湯気の向こうに見える人のまなざし、見知らぬ町でふと感じる安心感。旅先で触れる“やわらかいひと言”の積み重ねが、そっと心を温めてくれます。バッドエンドなし。誰が読んでもあたたかい余韻を残す一冊です。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.1
- テーマ
- 旅の気分を味わう物語
- ASIN
- B0GMRVW69P
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READ A LITTLE
物語の冒頭を、少しだけ。
『札幌』より
札幌駅から外に出た瞬間、白い息がふわりとほどけた。街の音は思ったより静かで、雪を含んだ空気がすべてをやわらかく包み込んでいる。足元のシャーベットを踏むたび、ぎゅっ、と軽い音がした。 私はキャリーの取っ手を握り直し、ゆっくり歩き始める。大通公園の方へ向かうと、雪の上に落ちた街灯の光が少し揺れて見えた。寒さはたしかに鋭いけれど、不思議と心までは冷えない。むしろ、胸の奥がじんわりひらいていくような感覚があった。
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