BOOK · VOL.1
旅する鑑定士の事件帖 Vol.1|北の灯り
旅する鑑定士の事件帖を見る古い道具には、値段では測れない物語がある。草壁悠介は、全国を旅しながら古道具や古文書を鑑定する鑑定士。ある日、彼のもとに届いた依頼は、亡き祖母が残した古い蔵の鍵を探してほしいというものだった。「蔵は、まだ開けないで」 祖母が最期に残した不思議な言葉。部屋に隠されていた「北の灯りを忘れない」という紙片。そして、蔵の奥から見つかった黒く焦げた古いランプ。 そのランプには、昭和二十七年の火事、ひとりの若者の火傷、祖母が七十年抱え続けた感謝が隠されていた。 手がかりは、北海道小樽へ。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.1
- ASIN
- B0GYQQS62T
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物語の冒頭を、少しだけ。
『旅する鑑定士の事件帖 Vol.1|北の灯り』より
山あいの小さな町に着いたとき、雨はもう上がっていた。 駅前のロータリーには、薄く水たまりが残っていた。古い喫茶店の看板、シャッターの下りた金物屋、丸い赤い郵便ポスト。そのすべてが雨に濡れ、町全体が少しだけ黙り込んでいるように見えた。 草壁悠介は、肩にかけた革の鞄を持ち直した。 四十二歳。
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