BOOK · VOL.1
5分探偵 Vol.1|消えた福引の当たり玉
5分探偵を見る商店街の夏の福引で、なぜか“当たり”だけが一本も出ない。箱に細工をした形跡はなく、係の人たちもごく普通。それでも「今年の福引はおかしい」という空気だけが、少しずつ広がっていく――。そんな相談を受けたのは、古い雑居ビルの二階にある5分探偵事務所。少し天然でつかみどころのない探偵・五十嵐いつきと、正反対にしっかり者の助手・真壁すみれが、町の小さな事件を追いかける。 消えたのは、本当に当たり玉なのか。それとも、“出ないようになっていた”だけなのか。 本作は、殺人なし・暴力なしで楽しめる、軽やかな日常ミステリーです。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.1
- ASIN
- B0GWYK7T2Y
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READ A LITTLE
物語の冒頭を、少しだけ。
『5分探偵 Vol.1|消えた福引の当たり玉』より
商店街のはずれにある古い雑居ビルの二階に、「五分探偵事務所」と書かれた小さな看板がかかっている。文字は少し褪せ、ドアの下には細い隙間風が入り込む。午前十時を少し過ぎたころ、そのドアが勢いよく開いた。 「大変なんです!」 入ってきたのは、駅前つばき商店街の若手会長をしている三崎という男だった。三十代半ば、きちんと整えた髪に汗を浮かべ、肩で息をしている。 事務机の向こうで、探偵の五十嵐いつきは湯のみを両手で包んだまま、のんびり顔を上げた。
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