BOOK · VOL.9
5分探偵 Vol.9|怒っているように見える常連客
5分探偵を見る商店街の喫茶店に、いつも不機嫌そうに座っている常連客がいる。誰かに文句を言うわけでもなく、店を困らせるわけでもない。それなのに、なぜか“怒っている人”として、少しずつ店の空気が決まっていく――。相談を受けたのは、古い雑居ビルの二階にある5分探偵事務所。少し天然でつかみどころのない探偵・五十嵐いつきと、しっかり者の助手・真壁すみれが、喫茶店の中に生まれた小さな違和感を追いかける。 本当に怒っているのか。ただ、そう見えてしまうだけなのか。それとも、席の位置や光の落ち方、周囲の受け取り方が、静かな常連客に別の意味を足してしまっているのか。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.9
- ASIN
- B0H2X5LJ9W
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READ A LITTLE
物語の冒頭を、少しだけ。
『5分探偵 Vol.9|怒っているように見える常連客』より
駅前つばき商店街の角に、喫茶店「木かげ」はある。 古い木枠の扉に、曇りガラス。昼にはやわらかい光が差し込み、夕方になると店の奥の方から少しだけ琥珀色が濃くなる。広くはないが、狭すぎもしない。話し声はあるのに騒がしくはなく、一人で本を読んでいても浮かない。商店街の中では、時間の流れ方が少しだけ違う店だった。 朝は常連が新聞を広げ、昼は買い物帰りの人が短く休み、午後になると一人客が増える。誰かに会うための店でもあり、一人になるための店でもある。真由はよく、この店は「間にある場所」
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