BOOK · VOL.19
旅する鑑定士の事件帖 Vol.19|三つの名前を持つ宿
旅する鑑定士の事件帖を見る瀬戸内の小さな島で、改修中の旅館「潮路館」の床下から古い木製看板が見つかった。表には「潮路館」、裏には「浜乃家」、削られた木肌の下には「月凪荘」。一度も名前を変えていないはずの宿に、なぜ三つの名前が残されているのか。草壁悠介が看板と古い記録を手がかりに、宿の始まりと消された名前をたどる旅情鑑定ミステリーです。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.19
- 発売日
- 2026年10月6日
- ASIN
- B0HM25HWG8
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物語の冒頭を、少しだけ。
『旅する鑑定士の事件帖 Vol.19|三つの名前を持つ宿』より
瀬戸内の島へ渡る船は、朝九時十分に港を出た。 海は穏やかだった。遠くの島々が薄い霞の中に浮かび、その間を小さな漁船がゆっくり横切っていく。草壁悠介はデッキの手すりに手を置き、目的地の島が近づくのを眺めていた。 青波島。 人口は千人に満たない。かつては漁業と造船で栄え、夏には海水浴客も多かったが、今では観光客の大半が日帰りだという。
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