BOOK · VOL.14
鎌倉
たびとぬくもりのものがたりを見る鎌倉の古道、海風、甘い香りをのせた朝の喫茶店。旅人が出会うのは、そこに暮らす人々のやさしい声——「またおいで」と手を振るような、ぬくもりのある町の時間。江ノ電沿いの景色、由比ヶ浜の光、長谷で交わした言葉の余韻。静かに心をほどく“旅のしずく”が胸に灯る、鎌倉編。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.14
- テーマ
- 旅の気分を味わう物語
- ASIN
- B0H2C4SLVX
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READ A LITTLE
物語の冒頭を、少しだけ。
『鎌倉』より
江ノ電の小さな揺れが心地よくて、私は窓の外に視線を向けた。朝の光に照らされた海が、ゆっくりと波を寄せては返している。車内に入り込む潮の匂いは、どこか懐かしいようで、胸の奥をそっと撫でていった。 長谷駅で降りると、風がさらりと頬を撫でた。都会の空気とは違う、少し塩を含んだやさしい風。深呼吸すると、肩の力が自然と抜ける。 歩き出してすぐ、小さなベンチに腰を下ろしている年配の女性が、にこっと笑って声をかけてくれた。
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