秩父の表紙

BOOK · VOL.11

秩父

たびとぬくもりのものがたりを見る

埼玉県・秩父。山に囲まれた町で出会うのは、急がない時間と、水の音。三峯神社の静かな朝、長瀞の岩畳を流れる荒川、番場通りのやわらかな灯り、湯けむりの向こうに広がる夜。秩父は、派手な観光地ではありません。けれど、訪れた人の心をゆっくり整えてくれる場所です。 本書は、秩父を舞台にした5つの短編を収録。読むだけで、山の空気と川の音がそっと胸に広がります。 旅に出る前に。少し疲れた夜に。静かな時間を取り戻したいあなたへ。 やさしく沁みる、ご当地ほっこり短編集。

出版社
灯雨文庫
形式
Kindle版
巻数
Vol.11
ASIN
B0GXB3YD9T
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READ A LITTLE

物語の冒頭を、少しだけ。

『秩父』より

西武秩父駅を出た瞬間、胸の奥に溜まっていた空気が、すっと抜けた気がした。 都心から二時間ほどしか離れていないのに、風の匂いがまるで違う。排気の匂いではなく、湿った土と木の匂い。遠くに山がある匂いだった。 朝の秩父は、まだ霧をまとっていた。 駅前の建物も、信号機も、どこか輪郭がやわらかい。世界が少しだけ静かに調整されているような時間だった。

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