BOOK · VOL.12
銚子
たびとぬくもりのものがたりを見る冬の風が少し冷たい朝、銚子の海は静かに呼吸していました。潮風に乗って届く霧笛の響き、霧の中で出会った人の言葉、そして灯台の光——。目に見えるものだけではなく、“その日の空気”までも旅の記憶に変えてくれる町。 本巻では、潮の匂い、灯台の灯り、そして人のやさしさが重なり合う銚子の時間を描きます。特別な観光ではなく、ほんの小さな一期一会が心をそっと温めてくれる——そんな旅の物語です。 旅野ほたるが紡ぐ「たびとぬくもりのものがたり」第12巻。霧の日も晴れの日も、海辺の小さな声に耳を澄ませたくなる一冊です。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.12
- テーマ
- 旅の気分を味わう物語
- ASIN
- B0GY9G2227
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READ A LITTLE
物語の冒頭を、少しだけ。
『銚子』より
銚子駅に降り立つと、まだ朝の光が完全に満ちる前の薄い青が町を包んでいた。少し湿った潮風がふわりと頬を撫で、遠くから波の砕ける音がかすかに届く。その響きは静かで、けれど確かに心の奥をゆっくり目覚めさせてくれた。 駅前の通りを抜けて海の方へ向かうと、空が少しずつ白んでいく。道沿いには昔ながらの商店が並び、開店準備をしている人たちの姿がちらほら見える。朝の町が動き出すすぐ手前の、静かな時間だった。
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