BOOK · VOL.7
会津若松
たびとぬくもりのものがたりを見る雪に静かに包まれる会津若松を舞台にした、やさしい旅のひとときを描く掌編集。鶴ヶ城の朝、七日町通りの古い建物、白壁の路地で出会う言葉、雪の日に深まる甘酒の香り、そして旅の最後に世界にひとつだけの“赤べこ”を描く時間。 雪国ならではの落ち着いた空気の中で、出会う人々のあたたかさが胸にそっと灯をともす。読み終えたあと、心がゆっくりとほどけていく旅情あふれる一冊。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.7
- テーマ
- 旅の気分を味わう物語
- ASIN
- B0GT8MB2V1
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READ A LITTLE
物語の冒頭を、少しだけ。
『会津若松』より
会津若松駅に降り立ったとき、胸の奥にひんやりとした空気がふわりと入り込んだ。吸い込む息は薄く冷たく、けれどどこか懐かしい温度を帯びている。駅前の広場には、早朝の静けさがまだ残っていた。人が少ないはずなのに、まるで町全体がこちらにそっと挨拶してくれているような気配がある。 キャリーの取っ手を握り直し、ゆっくりと歩き始める。冬の終わりの手前、道路脇には雪がわずかに残り、細い影を落としていた。空に厚い雲がかかっているせいか、遠くの山々が灰色の幕の後ろに半分だけ隠れている。
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