BOOK · VOL.12
旅する鑑定士の事件帖 Vol.12|材料のない料理帳
旅する鑑定士の事件帖を見る雪国の旧家から見つかった、一冊の古い料理帳。煮物、漬物、祝い膳。どの料理にも材料と分量が細かく書かれている。ただし、最後の一頁だけは違った。料理名は、「旅立ち膳」作り方は残されているのに、材料欄だけがすべて削り取られていた。 さらに頁の間から見つかったのは、家を離れた者たちの名前が書かれた小さな紙片。 嫁いだ娘。奉公へ出た少年。戦地へ向かった青年。 そして、一枚だけ裏に、 「出せず」 と書かれた紙。 その名は、六十年以上前に家から消えた少女・篠崎初江だった。 古道具鑑定士・草壁悠介が料理帳を調べると、旅立ち膳には決まった材料が存在しなかったことがわかる。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.12
- ASIN
- B0HFVBF2KV
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物語の冒頭を、少しだけ。
『旅する鑑定士の事件帖 Vol.12|材料のない料理帳』より
雪国の旧家には、家を出る者だけが食べる料理があるという。けれど、その家に暮らす誰一人として、料理の味を覚えていなかった。 草壁悠介がその依頼を受けたのは、十二月の初めだった。 手紙の差出人は篠崎和江。六十八歳。北陸の山あいにある雪代町で、江戸の終わりから続く旧家を管理している女性だった。 依頼状には、一冊の料理帳の写真が添えられていた。
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