旅する鑑定士の事件帖 Vol.2|雨の宿帳の表紙

BOOK · VOL.2

旅する鑑定士の事件帖 Vol.2|雨の宿帳

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古い宿帳に残されていたのは、雨の日だけ記された、亡き男の名前だった。古道具鑑定士・草壁悠介のもとに届いた依頼は、山あいの温泉旅館で見つかった差出人不明の木箱を調べること。木箱の中に入っていたのは、昭和の古い宿帳と、一本の万年筆。宿帳には、すでに亡くなっているはずの男・水野清一の名前が、雨の日だけ何度も記されていた。 なぜ、死んだはずの男の名前が宿帳に残されているのか。なぜ、その記録は二〇六号室にだけ結びついているのか。そして、万年筆と未開封の手紙に隠された本当の理由とは。

出版社
灯雨文庫
形式
Kindle版
巻数
Vol.2
ASIN
B0GYZBSXHQ
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READ A LITTLE

物語の冒頭を、少しだけ。

『旅する鑑定士の事件帖 Vol.2|雨の宿帳』より

雨は、朝から細く降り続いていた。 山あいの温泉町は、雨の日ほど静かになる。観光客の足音は石畳に吸い込まれ、軒先に吊るされた提灯の赤だけが、灰色の空気の中でぼんやりと滲んでいた。 草壁悠介は、駅前から出る古い路線バスに乗っていた。 車内には、地元の老人が二人と、旅館の従業員らしい若い男性がひとり。誰も大きな声では話さない。窓の外には、濡れた杉林と、湯けむりの上がる家並みが流れていく。

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