BOOK · VOL.6
旅する鑑定士の事件帖 Vol.6|桜染めの着物
旅する鑑定士の事件帖を見る仕立てられなかった桜色の反物には、三人が守り続けた春の記憶が残されていた。古道具鑑定士・草壁悠介のもとに届いた依頼は、城下町の老舗呉服店「染乃屋」に残された反物を調べること。桐箪笥の奥から見つかったのは、淡い桜色に染められた一反の反物。亡き祖母・染谷千鶴は、その反物を生涯仕立てることなく、大切に守り続けていた。 反物の端には、仕立てれば隠れてしまう場所に銀糸の小さな刺繍。箱の中には、差出人不明の一文。 「桜が散る前に、仕立ててください。」 なぜ祖母は、この美しい反物に鋏を入れなかったのか。なぜ、それでも捨てずに守り続けたのか。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.6
- ASIN
- B0H6NT9LCR
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物語の冒頭を、少しだけ。
『旅する鑑定士の事件帖 Vol.6|桜染めの着物』より
城下町には、夕方になると水の音が増える。 石垣の下を流れる細い用水路。 古い町家の軒先から落ちる雨だれ。 観光客が少なくなった通りに、下駄の音のように響く小さな水音。
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