BOOK · VOL.8
旅する鑑定士の事件帖 Vol.8|硝子工房の欠けた杯
旅する鑑定士の事件帖を見る完成したその日に、わざと縁を欠けさせられた透明な杯。なぜ職人は、自ら完成品を壊したのか。古道具鑑定士・草壁悠介のもとに届いた依頼は、山あいの硝子工房に残された一つの杯を調べること。杯の底には、先代職人・朝比奈透の刻印。しかし工房の日誌には、別の若い職人・水瀬怜がその杯を吹いた記録が残されていた。 他人の作品に、自分の名前を刻んだのか。作品を奪うために、欠けさせたのか。 手がかりは、昭和六十一年の若手工芸展。右手を負傷した職人。二人で作った対の杯《息》と《光》。一人の名前を消し、別人の作品として出品しようとした工房主。
- 出版社
- 灯雨文庫
- 形式
- Kindle版
- 巻数
- Vol.8
- ASIN
- B0H9683N7W
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物語の冒頭を、少しだけ。
『旅する鑑定士の事件帖 Vol.8|硝子工房の欠けた杯』より
硝子工房は、山のふもとにあった。 町の中心からバスで三十分。 川沿いの道を抜け、杉林の間を走り、最後に小さな集落へ入る。そこからさらに歩くと、斜面に寄り添うように建つ古い木造の工房が見えてくる。 屋根は低く、壁は煤けていた。
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