旅する鑑定士の事件帖 Vol.9|月夜の古文書の表紙

BOOK · VOL.9

旅する鑑定士の事件帖 Vol.9|月夜の古文書

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昼間には、何も書かれていない一枚の和紙。けれど月の光が差し込む夜、そこには消された村の名と、百四十二人の名前が浮かび上がる。古道具鑑定士・草壁悠介が訪れたのは、山中に建つ古寺・常明寺。寺の書庫から見つかった桐箱には、 「月のある夜に開くこと」 と記されていた。 月光の下に現れたのは、地図にも戸籍にも残っていない村――月白村。 三十七戸、百四十二人が暮らしていたにもかかわらず、村名は石碑や過去帳から意図的に削られていた。 村人は罪人だったのか。病を隠していたのか。山を奪った者だったのか。

出版社
灯雨文庫
形式
Kindle版
巻数
Vol.9
ASIN
B0HBNXGT21
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READ A LITTLE

物語の冒頭を、少しだけ。

『旅する鑑定士の事件帖 Vol.9|月夜の古文書』より

山寺には、夜になると別の道が現れる。 昼間はただの石段に見えた場所が、月の光を受けると白く浮かび、杉の根元へ続く細い踏み跡まで見えるようになる。 草壁悠介が常明寺を訪れたのは、満月の前日だった。 町の駅から路線バスで四十分。終点で降り、さらに山道を二十分ほど歩く。空はすでに薄暗く、杉林の奥から冷たい風が下りてきていた。

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